平ヶ岳(日本百名山)
平ヶ岳の特徴
- 日本百名山
- アクセスが長い(高速を下りてから2時間以上)
- 非常に長い行程(通常の往復コースタイムで12時間程度)
- 公式でのキャンプ禁止、山小屋も存在しない
- 山容は平坦で、湿原が広がる
- 皇太子殿下が登山しようとした際、「皇太子ルート」なるショートカットルートが切り開かれた
アクセスの困難さ、健脚者向きのきついコースタイムといった要素から、生半可な覚悟では登れない秘境の百名山などと言われています。「皇太子ルート」というショートカットルートも存在しますが、国道から登山口までの長い長い林道は交通規制がなされているため、登山口に入るまでが一苦労です。
行動記録・ルート
● 2016/8/14(Sun.)
行き:東北自動車道~西那須野塩原IC 3:30(車) 鷹ノ巣登山口
● 2016/8/15(Mon.)
鷹ノ巣登山口(3:30) 0:50 Rest (4:20/4:25) 0:35 Rest (5:00/5:10) 0:27 下台倉山(5:37/5:46) 0:40 台倉山(6:32/6:42) 0:40 白沢清水(7:22/7:32) 0:46 Rest(8:08/8:13) 0:24 池ノ岳(8:37/8:47) 0:28 平ヶ岳(9:15/9:34) 0:38(玉子石方面ルート経由) 池ノ岳(10:12/10:27) 0:45 白沢清水(11:12/11:20) 0:34 台倉山(11:54/12:04) 0:34 下台倉山(12:38/12:45) 0:48 Rest (13:33/13:43) 0:47 鷹ノ巣登山口(14:30)
合計歩程 8:56(コースタイム 11:30 短縮率77.7%)
帰り:鷹ノ巣登山口 1:00(車) 奥只見シルバーライン~関越自動車道
出典:山と高原地図 15「越後三山 平ヶ岳・巻機山」,昭文社,2016.
赤…登りのルート
黄…下りのルート
左上の中ノ岐登山口が、いわゆる皇太子ルートです。登山口への林道はゲートが閉じられているため、一般車は入ることができません。ここから登る方法は主に二通りあります。
- 送迎を実施している小屋で一泊する(清四郎小屋、奥只見山荘など)。ただし、希望者が所定の人数に満たないと催行されません。
- ゲートから、自転車でホイホイ登山口までこぎまくる。スムーズな人は片道1時間程度で着くらしいです。
登山報告
はじめまして、まゆげ(仮称)です。
「秘境」という響きに惹かれ、かねてより登りたいと思っていた平ヶ岳に行ってきました。
大学の先輩である南極(仮称)さんの運転で、鷹ノ巣登山口を目指します。東京を出発し、節約のために栃木まで国道を走っていましたが、21時を回って時間的な危機感を感じ始めたので、鹿沼ICから東北道にのることに。その途中にさつきロードという謎の有料道路が登場。わけも分からぬまま160円をぶんどられ、あっという間に無料の国道に合流。せっかく節約したのに…泣
鹿沼ICから東北道にのり、西那須野塩原IC から再び国道。3時間半ほどで鷹ノ巣登山口に到着。順当に車酔いを発症しました。
さて、3時半。体調が回復しきらぬうちに、登り出します。
6時間の運転をしてくれた南極さんは元気です。タフだなぁ…
登山口にはこんな注意書きがあります。
「当初から野営を計画して登山をされる方がいらっしゃいます」…ドキッ
私も初めは、山頂付近にあるらしいテン場にテントを張ることも考えていました。テントの調達が面倒だったので断念したのですが、やはり公式なテン場ではないようです。健脚者は日帰りを心がけ、テント泊は非常時のみ、というのがセオリーだということです。
登り出してから1時間しないうちに、樹林帯が開けてヤセ尾根に出ます。
日の出前、よく下が見えないのでまだ恐怖心はありませんが、両側でパックリと暗闇が口を開けています。足場の悪いヤセ尾根上の登りもあり、ここを下るの嫌だなぁと思いながら高度を稼いでいきます。
ヤセ尾根から展望は比較的良好になります。左手にはいくつかの山々が見えてきます。一番大きい山は燧ケ岳かな?双耳峰が特徴なのですが、ちょうど雲がかかっていてよく見えません…
台倉山からしばらく進むと、水場である台倉清水に到着。しかし謎のブルーシートがあるのみで、水らしいものは一切見つかりませんでした…
※往復5分程度で沢に下りることができ、水量が豊富な水場があるとの情報もあります。しかし涸れる時期もあるとのことなので、あまりアテにしない方がいいような気がします。
さらに進むと、白沢清水という水場に出ます。レストポイントとしては優秀なのですが…
こんなん飲めるか!!っていう水場でした。変なの浮いてたし。
池ノ岳直下は急登です。ひぃひぃ言いながら登って行きます。あと一息で楽園です。
そしてついに池ノ岳(姫ノ池)に到着!!ここからが楽園の湿原ゾーンになります。パンパンになったバウムクーヘンと一緒にワンショット。
湿原の美しさには心惹かれます。苗場山、会津駒ヶ岳など湿原が広がる山はいくつかありますが、平ヶ岳はアクセス困難ということもあり、何よりプライベート感が素晴らしいです。本日出会った登山客はわずかに7名でした。
池ノ岳を後にして、平ヶ岳山頂へ向かいます。霧だらけで展望はありませんが、むしろ幻想的な雰囲気で楽しくなってきます。
平ヶ岳の三角点に到着しましたが、3人のグループが楽しそうにしていたので一旦スルーし、行き止まりにあたる標高最高点(2141 m)を目指します。
…到着すると、最高点などという看板は存在せず、「この先通行止」という淡白な標識のみ。もうちょっと褒めてくれてもいいのに。
いやーお疲れ様!!南極さんとツーショット。手前がまゆげです。身長差がばれる…
最高点を堪能した後、三角点に戻ります。さきほどいた3人のグループがまだいました。ずいぶん余裕があるなぁ…
平ヶ岳の標識にピッタリあごがのりました。身長がばれる…
下りは、若干遠回りになりますが、玉子石方面へ向かう木道を経由して、池ノ岳へ戻ります。途中、ようやくまともな水場にお目見えしました。
このテン場を右折すると
これは美しい!!白沢清水も見習ってほしい。
そして、玉子石方面への分岐にさしかかります。平ヶ岳名物の玉子石ですが、時間・疲労・玉子石を見る価値(笑)などを総合的に判断し、スルーすることに決めました。平ヶ岳は下るだけで4時間程度を要するため、早めに下りることを推奨します。
池ノ岳に戻ってきました。天気が回復し、平ヶ岳が見えたのでパノラマ撮影!南極さんが2人いますが、合成ではありません。南極さんがすばやいだけです。
気持ちいい天気の下、思わず昼寝をしてしまいました。堂々と昼寝ができる山なんてそう多くないです。くり返しになりますが、このプライベート感が平ヶ岳の魅力です!
ここで、半そで短パンのいかにもトレランって感じの親子に出会いました。昨日は燧ケ岳に登り、今日は朝6時に出発して4時間程度でここまで登ってきたそうです(コースタイム5:50のところ)。相当のツワモノです。
「走ってきたんですか?」と聞くと、「いやいや違うよ、望月選手じゃないんだから」「…。」南極さんと顔を見合わせ、そこで会話が終わりました。望月選手って誰?笑
望月将悟:静岡市消防局所属の山岳救助隊員。北・中央・南アルプスの420 kmを走破するトランスジャパンアルプスレースという大会で3連覇を達成した。
…めちゃくちゃ凄い人だった。望月選手すみませんでした。
このトレラン親子、お父さんがボケで小学生くらいの息子さんがツッコミみたいな関係でとても仲がよかったです。ほっこりしました。別れを告げ、平ヶ岳をバックに後姿を撮らせていただきました。お気をつけて!
10時半頃、ぼちぼち下り始めます。楽園よさようなら。
途中、平ヶ岳をバックに。絶対に飛び降りるなよ!!フリじゃないぞ!!
下りは、脱毛とか映画を見に行く話とかをしながら、予想していた以上にサクサク下ることができました。しかし台倉山を過ぎて、ヤセ尾根にさしかかってからが長く感じました。
行きは暗くてよく分からなかったけど…
ヒャー切れ落ちとる!!
しかも雨が降ってきました。このコンボは怖い。
そしてなんとか無事に登山口に戻ってきました!11時間前は元気だった南極さんもこの疲れよう。お疲れ様でした!
その後、樹海ライン(国道352号)のクネクネ道を1時間走り、奥只見シルバーラインから魚沼の市街地に抜けます。奥只見シルバーラインは、奥只見ダムを建設するために作られた、高速道路のような比較的快適な道路です。かつては有料道路だったそうですが、1977年に無料開放されました。さつきロードも見習ってほしい。忘れないからな、さつきロード。
鷹ノ巣登山口から、2時間で関越道の小出IC付近まで着きました。東北道からのアクセスより1時間半も早かったです。しかし…
奥只見シルバーラインに至るまでの樹海ラインのクネクネ道が、史上最強レベルにクネクネで、順当に車酔いを発症しました。また、見通しの悪いヘアピンカーブにカーブミラーが置いてない箇所がやたら多く、そういったカーブではプップと鳴らして曲がっていました。かなり気を使う道路です。
- 東北道から…3時間半ほど、クネクネ度合いが小さい、比較的走りやすい
- 関越道から…2時間ほど、樹海ラインのクネクネがひどい、気を使う
こんな感じでしょうか。
さて、いい温泉に入りたかったので、ハツカ石温泉のユングパルナスまで車を走らせてもらいます。
携帯でWebクーポンを見せれば700円で入れます。いいところでした。
その後、越後湯沢で幅を利かせているという(笑)つけ麺屋、越後維新で夕飯タイム。食べ終わった頃に、ドーンドーンと地響きが鳴ったと思ったら、花火が上がっていました。フィナーレにふさわしい。
うーん、うまく撮れない。フラーレンのようになってしまった。
なんとか撮れたワンショット。
嵐のような花火のフィナーレに見送られながら関越道にのり、帰路につきます。
天気はあまりよくないという予報でしたが、登山中にはドカンと降られることはなく、素晴らしい山行になりました。平ヶ岳はアクセス困難で健脚者向きの山なだけあって、予想通り人が圧倒的に少なく、他の山に比べて自然のままである度合いが高いように感じました。行きづらい、ということがプラスに働いていますね。いつまでもこの美しい状態を維持してほしいものです。
南極さん、長時間の運転ありがとうございました!私も早く運転できるようにします。
メンバー
- 南極さん(8回目)
- まゆげ(自分)
※(回数)は、通算で登った回数