裏銀座・雲ノ平縦走1日目~烏帽子岳(日本二百名山)
烏帽子岳の特徴
お盆休暇を利用して、裏銀座からの雲ノ平という黄金ルートに挑戦です。
最後にはちゃっかり薬師岳も回収しちゃいます。
初日は、高瀬ダムからブナ立尾根を経由し、烏帽子小屋と烏帽子岳を目指します。
行動記録・ルート
- 2018/8/11 (Sat.)
- 2019/8/12 (Sun.)
七倉山荘(4:10) 0:50 高瀬ダム下(5:00/5:10) 0:30 高瀬ダム上(5:40/6:00) 0:25 登山口・水場(6:25/6:45) 0:30 レスト@10番目印(7:15/7:25) 0:35 レスト@8番目印(8:00/8:10) 0:40 レスト@6番目印(8:50/9:10) 0:45 レスト@4番目印&三角点(9:55/10:05) 0:30 レスト@2番目印の手前(10:35/10:50) 0:20 レスト@1番目印(11:10/11:20) 0:35 烏帽子小屋(11:45/13:35) 0:45 烏帽子岳(14:20/14:55) 0:55 烏帽子小屋(15:50)
合計歩程 7:20(コースタイム 8:25 短縮率87.1%)
出典:山と高原地図 35「鹿島槍・五竜岳 北アルプス」,昭文社,2014.
赤:登りのルート
青:下りのルート
高瀬ダムから烏帽子小屋までの登りであるブナ立尾根は、北アルプス三大急登・日本三大急登という見事二冠を達成しております。つ…強すぎる。
つまり、裏銀座での快適な山行を味わうためには、いきなりラスボス級の敵と対峙する必要があるということです。
RPGならいわゆる負け確定イベントに該当しそうなこの急登、登山では勝たないと先へ進めません。
コンディションをしっかり整えて挑みましょう!(もちろん無理なら引き返しましょう)
登山報告
はじめまして、まゆげ(仮称)です。
今回は、裏銀座・雲ノ平縦走という仰々しいタイトルです。
北アルプスの魅力に取りつかれた者なら誰もが憧れる、北アルプスの奥深い山域(双六山荘以北を勝手にそう呼んでます)。
北アルプスの中では閑静な雰囲気ながらも超一流の山歩きが体験できる裏銀座。
日本最後の秘境と呼ばれ100%の自然が感じられる雲ノ平。
今回は順を追ってこれらすべてを踏破する予定です。
初日は、ブナ立尾根からの烏帽子小屋・烏帽子岳を目指します。
登山口へのアプローチには、新宿から出ている夜行バスを利用します。
早朝4時、起点である七倉山荘に到着です。
まだ真っ暗。
ヘッデンをつけて準備開始です。
幸い天気に恵まれ、星空が素晴らしい。
これだけでも来た甲斐があるってもんです。
さて、ここから先、高瀬ダムまでは徒歩かタクシーを選べます。
ただし、七倉山荘より先は夜間交通規制がなされており、夏季の登山シーズンの場合タクシーの運行は朝5時半からとなっています。
運行開始の時間は時期によるので、ご利用の際は予め公式HPでご確認を
七倉山荘から高瀬ダムまで歩くと、コースタイムで1時間半。
車道なのであまり短縮は期待できないでしょう。
一方、タクシーだと5時半スタートで所要時間約15分。
ということで、歩いた方が15分早く、かつタクシー代も浮きます。
よし、歩こう。
(体力の消耗という観点はない)
あ、これが交通規制のロープですね。
歩く意志を有する者のみ突破可能です。
ドヤ顔で突破します。
独特なルビの注意書き。
「上流」:かみのほう
「左記」:つぎ
「危険」:あぶない
絵から察するに、子供でも分かるように、という意図なのでしょう。
さて、七倉山荘からしばらくは本格的なトンネル歩きです。
うさぎ(仮称)とゴールキーパー(仮称)。
これから4日間、行動を共にします。
ときはお盆。
5時ともなればすっかり明るくなります。
そして、トンネルを抜けるとそこは高瀬ダムだった。
ここ、割と難所です。
到着時間云々ではなくて、この強烈な登りを避けるためだけでもタクシーを使う価値はあると思います。(経験談)
しかし、ときすでに遅し。
気合いで登ります。
くねくね道を右に行ったり来たり。
200mシャトルランです。
写真がぶれます。
疲れてるからです。
+光量が足りないからです。
振り返れば、そこそこの景色。
30分ほどかけてようやくダムの頂上に到着です。
すでに体力はゼロに近いです。
ということで朝ごはんをいただきます。
高瀬ダムにたまっている水は、独特な色合いです。
青緑?
一般的に水分子(H2O)は長波長(赤)を吸収する傾向にあるため、短~中波長の色が際立つと科学的には説明できます。
そのほかにもいろいろ要因があるみたいですが、詳細は知りませんすみません
槍ヶ岳、湯俣方面。
湯俣には、平坦な林道と山道をおよそ3時間歩くと着きます。
温泉やお酒が楽しめる魅力的な山小屋があり、いつか観光で行ってみたいところです。
その先、槍ヶ岳へは…
おそらく北鎌尾根ルートを指しているのでしょう。
超上級中の上級コース(というかそもそも登山地図にルートがない)なので、おそらく縁はないです…
また、湯俣から竹村新道という健脚者ルートを6時間20分登ると、裏銀座コースに合流できます。こちらは体力的な意味で上級コースです。
あとは、鷲羽岳の起点である三俣山荘への直登ルートである伊藤新道があります。しかし、おもに亜硫酸ガスによる吊り橋の腐食・崩落のため、1983年を最後に通行止めとなっています。
伊藤新道の歴史と現在 | 特集 | 北アルプス黒部源流 | 三俣山荘・雲ノ平山荘・水晶小屋
私は廃線鉄道マニアでもあるので、こういった閉ざされた道には秘境的な魅力を感じます。
ではでは、高瀬ダムを後にし歩き始めるとします。
気付いたらタクシーに追いつかれてました。Ouch...
本ルート名物の一つである、不動沢吊り橋。
揺れる揺れる
不動沢の作業車両。
不動沢はそのまま高瀬ダムへ続いています。
吊り橋を越えると、キャンプ場。
登山地図に記載はありますが、名称は書かれていません。
この小屋には、濁沢キャンプ場と書いてありました。
訪れて初めて分かる名称です。
これをドヤ顔で言えたらあなたは通と言えるでしょう。
さて、全然登山口に着かないなー…
三大急登はどこへやら。
緩やかな道をひたすら進みます。
今日は1500メートルアップの予定なんだけど。
まともな登りはまだダムだけです。
さて、歩き続けると、ようやく登山口。標識があります。
登り出しの前に水場を探します。登山地図に記載はありますが、あからさまな案内はありません。自力で探します。
むむ、この上が怪しい。
沢から豪快に水を補給します。どうやらこういうタイプの水場らしいです。
この先烏帽子小屋まで、水補給ポイントはありません。
しっかり補給しておきましょう。
さて、三大急登のブナ立尾根、いよいよスタートです。
登山口の黄色い標識の上に、12という数字があります。
これは、この登山口からゴールである烏帽子小屋までの残りの距離(所要時間)を数値化したものです。
12番目印から0番目印まで、カウントダウンが始まります。
三大急登の名は伊達じゃありません。
階段を上り、山道を登り…
30分歩いたところで、10番目印で休憩。
35分歩いたところで、8番目印で休憩。
あっさり書いてますが、かなりきついです。
もはや写真を撮る余裕もありません。
暑い。
汗だくだく~君はラクダ君
懐メロが頭の中をぐるぐる回ります。
7番目印。
よっこらせ
6番目印。ここで休憩。
5番目印。元気だね、きみ
そして、2208.5メートルの三角点。
タヌキ岩。
かなり疲労困憊ですが、確実に高度は稼いでいます。
お、尾根が近い!!
烏帽子小屋も近い!!
しかしまだ3番。およそ4分の3来たことになりますね。
2番!!あとちょっと。
さすがにみんなも疲れてきたようです。
そして1番目印で休憩をはさみつつ、ついに烏帽子小屋へ到着!!
と同時に0番目印を発見。
また、番号とチェックポイントの対応看板もありました。
ふむふむ、大体わかったようなわからないような
ま、着けばいいんです!!
小屋到着時の圧倒的安心感。
これを味わうのも登山の醍醐味です。(個人的な嗜好ですが)
これを見ると裏銀座に来た感が増します。
身が引き締まる思いです。
さて、とりあえずテン場へ向かい、テント設営と昼ごはんです。
テン場へは、小屋から徒歩10分弱です。
背後には裏銀座縦走路。
かっこよすぎる!!
ほどよいサイトを陣取り、今回のために3人で出資して購入したステラリッジテント(モンベル製)を立てます。
このテントを選んだ理由。
軽い
そこが最大のポイントです。
あと、そこそこ安い。さすがモンベル。
さて、ラーメンでも食べるか。
生活感溢れてますね。
まるで休日の一コマのよう。
まぁ休日なんですけど。
さて、烏帽子小屋へ戻って水を補給し、烏帽子岳へ向けて再び登り出しです。
お昼ごはんでエネルギー補給し、かつほぼ空身で登れるので、元気いっぱいです。
テン場側から見た烏帽子小屋。
烏帽子岳は奥側です。
小屋前の穏やかな一コマ。
小屋の中にお邪魔して、水をいただきます。
蛇口式です。
水は命です。
爆買いします。
水質も保証されてるみたいです。
ふむふむ、なるほど。
多分完璧なのでしょう
さて、本日のメインピーク、二百名山の烏帽子岳へレッツゴー!!
さすが、みんな元気。
燕岳を彷彿とさせる砂地・岩の道です。
ふと右手を見ると、はるか昔に通り過ぎた高瀬ダム!!
現在地との標高差は1300メートルといったところでしょうか。
がんばったねぇ…
遠目に、烏帽子岳っぽいピークが見えてきました。
ニセ烏帽子というニセピークもあるらしいですが、てっぺんに人がいるのでおそらく本物でしょう。
あぁ、飛ぶのね。はいはい。
腹チラセクシー烏帽子ジャンプ。
今回は何回拝めるでしょうか。
烏帽子岳のピークに立つためには、烏帽子岳分岐というところで左折です。
ここからは、烏帽子岳からの下山者とすれ違いながら登っていきます。
核心部は、やや高度感のあるトラバースです。
軽快に登っていきます。
ところで、お尻に小枝ついてるよ
いざ、自分の登る番。
ふむ、やや高い。
こ、こわくなんてないんだからねっ
そして山頂へ。
登り出しから10時間10分(休み込み)、ようやく到着です!!
感動もひとしお。
一見、展望ゼロのように見えますが、高いところに雲が多いだけで、烏帽子岳の標高以下の展望はよいです。
お姉さんも自撮り棒でインスタ映えに夢中。
おやっ、眼下に見える青い場所はもしや…
高瀬ダム!!再び。
そして、その下方には不動沢吊り橋も見えます。
実際に通過したときとは違った光景が広がります。視野が広がります。
こういうのを俯瞰というのですね。
学術でも仕事でも大事かもしれません。ふかん。
いやぁ、勉強になります。
思わず正座になります。
うさぎもご満悦
さて、下山しましょう。
ちなみに、烏帽子小屋と反対方向(船窪方面)には、美しい池塘が広がります。
総称して四十八池と呼ばれているらしいです。
この船窪方面、裏銀座以上に静かな道中であることと思います。
プライベート感がたまりません!!
東側には、おそらく大町市街。
こんな光景毎日見てたら目がよくなりそう。
遠目に烏帽子小屋が見えてきました。
お分かりになるだろうか?
青色の屋根です。
思い切ってズーム
くっきり撮れてます。20倍ズームです。
現代の光学技術ってすごいですね。
さて、そうこうしてるうちに小屋に戻ってきました。
まずはテン場へ。
なんかいい雰囲気ですね。お花畑に囲まれて。
実は、烏帽子小屋とテン場の間って、お花畑なんです。
お花さん、あなたのお名前は?
「チングルマの実です」
…調べたところ、花ではなく実の可能性が高そうでした。
タンポポの綿毛のようなポジションでしょうか。
さて、ときは16時前。
さすがにテン場も混んできました。お盆のハイシーズンですからね
テントでごそごそ。
お酒を取り出し、小屋前の花畑でオトナな時間を過ごします。
あなたは?
「イワギキョウなの。岩桔梗って書くの。」
烏帽子小屋前の大量群生は一種の名物らしいです。
お花とお酒を嗜みつつ、お夕飯にします。
私は米炊き担当になりましたが、長い行程の初日に鍋を焦がすと後々に響くので、細心の注意を払います。
(1) 水は米の1.25倍(加熱前にしばらくひたしておくと良)
(2) 強火で加熱
(3) 湯気が派手に吹いてきたら弱火でことこと
(4) 湯気あるいはことこと音が消えたら蒸らす
こんな感じだった気がします。
といっても5年くらい炊いてないので完全に勘です。
蒸らしタイム。焦げてませんでした。
イェェェェェェイ(サンシャイン池崎風)
長年の勘って大事ね。
そしておかずは、うさぎ発案のマーボーコーン(名称はいま付けました)
水と油が混ざって派手にはじけ飛ぶというアクシデントがありましたが、何とか収めて夕飯にありつけました。
イケメンだなぁ…
明日も晴れるといいな!
願いつつ、床に就きます。
初日、長い歩程で大変でしたが、実に順調な滑り出しです。
天気に恵まれたのは大きいですね!
二日目以降も気合い入れてレポートします!
しかし、このテンションが四日目まで持つか心配です。
大丈夫かな
ちなみに本記事の画像数は84枚と過去最多で、少々飛ばしすぎました。
本ブログは無料で使っており、一か月あたりの画像アップロード容量の上限が決まっていまして、その3分の1を使ってしまいました。
この時点で、同じアップロードペースで1か月以内に四日目まで更新することは不可能であることが分かりました。
ま、1か月以内に4件も更新できた実績がないので、いらぬ心配でしょうね
メンバー
- うさぎ(17回目)
- ゴールキーパー(13回目)
- まゆげ(自分)
※(回数)は、通算で登った回数
全日程通しで1回とカウントします。